Leave No Trace(リーブノートレイス)自然にダメージを残さないアウトドアの楽しみ方

こんにちは。秀岳荘白石店スキー・カヌー売場 藤田です。
先日、札幌で開催された『Leave No Trace(リーブノートレイス)レベル1』の講習会に参加してきました。
アウトドアを楽しまれているみなさまに、Leave No Trace(以下、LNT)を知っていただきたいと思い、ブログを書かせてただきました。
整備された登山道
【なぜLNTを学ぼうとしたのか?】

私は、夏は登山や沢登り、カヤック、冬はバックカントリーと一年を通してアウトドアで楽しんでいます。

北海道は、身近なところに豊かな自然が広がる、まさにアウトドア天国です。
フィールドに出かけるたびに、新しい自然との出会いや発見があり、その素晴らしさに感動しています。

一方で、野生動物もすぐそこに暮らしています。私たちが自然の中で遊ばせてもらっている以上、植物や野生動物への配慮も忘れてはいけないと感じていました。

例えば、トイレ問題です。

私はトイレが近いほうなので、登山口で済ませても、登山の途中でトイレに行きたくなることがあります。
そんなとき、どこで用を足すのがよいのだろうか?
植物への影響はないのだろうか?
野生動物の影響はどうなのだろうか?
標高が高くなれば、し尿の自然分解はどうなるのだろうか?

「自分1人なら大丈夫でしょう」
「雨が降ったら流れていくでしょう」

そんなふうに考えて、気にはなりながらも、これまで深く考えることはありませんでした。

LNTの講習会が札幌で開催されることを知り、
『自然の中で遊び続けるためにも、ちょっと勉強してみようか!』

そう思ったことが、私がLNTを学ぼうと思ったきっかけです。
LTNの講習風景
【Leave No Trace(リーブノートレース)とは】

LNTは、アメリカで、はじまりました。
アウトドアをする人が増えるにつれ、国立公園や自然保護地域などでは、登山道の踏み荒らしやゴミの放置、野生動物への影響など、自然環境への負担が、問題になってきました。

こうした問題を背景に、「自然への影響をできるだけ小さくしながら、アウトドアを楽しもう」というLNTの考え方が発展し、今では世界96ヵ国で認定されています。

LNTは、私たち一人ひとりが自然環境に与えるインパクト(ダメージ)を最小限に抑え、自然の中で楽しみ続けるための環境倫理プログラムで、単にルールを守ることではなく、一人ひとりが自然の影響を考え、自ら行動するための行動指針です。

その基本となるのが7つの原則です。

7つの原則をもとに、誰もがわかりやすく、楽しみながら実践できる具体的な方法を学ぶことができます。

【7つの原則】※各原則をクリックしてみてください。
LNT原則1 事前の計画と準備
LNT原則2 影響の少ない場所での活動
LNT原則3 ゴミの適切な処理
LNT原則4 見たものはそのままに
LNT原則5 最小限のたき火の影響
LNT原則6 野生動物の尊重
LNT原則7 他のビジターへの配慮
最小限の焚き火の実演
【LNTレベル1では、なにを学んだのか】
今回は、「LNTレベル1」ということで、みなさんにLNTを教えることができるインストラクターコースを受講しました。「ティーチング」と呼ばれる実習では、受講生が二人一組で、7つの原則のうち1つを受けもち、30分のワークショップを行うという内容です。

私は、「LNT原則5 最小限の焚き火の影響」を担当しました。※写真2枚目ワークショップのイメージ

最小限のたき火の影響とは?
・できる限りストーブを使うようにしよう。
・たき火をするときは焚き火台やマウンドファイヤーを使おう
・たき火の大きさは必要最小限にしよう。
・薪には手で折れる程度の落ちている枝だけを使おう。
・すべての薪が灰になるまで燃やそう。
・灰は完全に消化してから、バラまこう。

できるかぎり、ストーブを使い湯を沸かし、温かい飲み物を飲んで体を温める。
どうしてもたき火を必要な場合は、地表にダメージを与えないたき火を考えます。
地表に熱が伝われば、そこに生息する生き物たちに影響を与えるおそれがあります。また、山火事を引き起こす危険性もあります。さらに国立公園など、たき火に関する規制が設けられている場所もあるので、計画段階で確認しておくことが大切です。

マウンドファイヤーの実演
写真は、マウンドファイヤーという、地表への影響を抑えるためのたき火の実演中の様子です。
①地表にシートを敷きます。シートが無ければ、手元にあるもので工夫します。
②赤土を盛ります。黒い土には微生物が多く生息しているため、たき火による影響を避ける目的で、黒い土を直接使わないようにします。
③くぼみを作り、火口と小枝を盛ります。
④火が付いたら、小枝をくべていきます。最大で手首くらいの太さにしておく。太い枝は、燃え切らなず、炭として残ってしまうためです。
⑤ できる限り、灰になるまで燃やし切ります。灰は、適切に処理することで、土壌に戻すことができます。
⑥ 炭が残った場合は、完全に消火していることを確認してから、細かく砕きましょう。
炭は微生物に分解されにくく、自然に分解されるまでに数百年から数千年以上かかる可能性があります。
⑦ 灰は、キャンプサイトからはなれたところにばらまき、使用した赤土は元の場所に戻しましょう。ただし、灰や炭の処理については、現地の環境や管理上のルールに従ってください。

そうすることで、最小限のたき火に抑えることを目指します。

自然への影響を、一人ひとりが考える
沢登りをしている時は、どうしても同じ場所で、キャンプをしてたき火することがあります。
あちらこちらでたき火の痕跡があれば景観がよくないと感じていました。
一人ひとりが、環境に配慮することで、景観を守り、自然へのダメージを最小限に抑えることにつながります。

自分が取った行動が、よくも悪くも未来の自然に影響すると考えると恐怖を感じてしまいます。
出来るなら、今ある自然を少しでも長く維持できる行動をしたいですね。
ベアーバッグを木に吊るす
こちらは、「LNT原則6 野生動物の尊重」のなかのワークショップで、「ベアバッグ」を設置している様子です。

野生動物に食料を取られないように食料を入れたバッグを木に吊るします。

羅臼岳には、金属製の箱「フードロッカー」が設置されています。フードロッカーが無い場合は、携帯用ベアキャニスターやベアコンテナを使用したり、ベアバッグを適切な方法で設置したりする対策が必要です。

こうした対策は、野生動物に食料を取られないようにするだけではありません。人間の食料の味を覚えた野生動物が、キャンプサイトに近づくことを防ぎ、人と野生動物の双方を守ることにつながります。※食料の保管方法は、場所ごとのルールや環境に合わせて選ぶことが大切です。

ほかにも原則がありますが、全ての話をしてしまうとブログが長くなってしまいますので、割愛します。

このように野外で実際に体験しながら、1つの原則について、約30分かけてワークショップを行いました。考えたり、実践したりしながら、楽しく学ぶことができました。

秀岳荘でも、どんな形になるかわかりませんが、こうしたワークショップを行いたいと考えていますので、その日がくるのを楽しみにしていてください。

今回の講習会を通して改めて感じたことは、1人ひとりの行動が、自然に影響を与えているということです。

まずは、そのことを知ってもらうこと。そして、これからの未来のために、自然を大切にする行動を選んでいくこと。

そうした積み重ねが、自然を守ることにつながり、これからも多くの人に素晴らしいアウトドア体験をさせてくれる未来へつながっていくと思います。

私自身もこれからのアウトドア活動の中で、「この行動は、自然にどのインパクトがあるかな?」、「どうすれば、そのインパクトを最小限に出来るだろう?」と判断を楽しみながら、活動していきたいと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


秀岳荘白石店スキー・カヌー売場 藤田