暑さ寒さもヒ岩まで? [ 芦別岳 夫婦岩/日鋼室蘭ルート・洞穴スラブ ]:其の壱

お盆前の時期は道外の岩や山に行かれるご準備でご来店されるお客様も多く、
「あぁ私も行きたいなぁ」と羨望の眼差しでお話を伺っておるのです。

あ、申し遅れました、北大店のK山です。

じゃあせめて道内で岩の山へ・・・と言えば?、という事で、
秋にネパール遠征を控えた同じ山岳会のH氏と、芦別岳・夫婦岩へ2日間行ってきました。

太陽の里で待ち合わせて準備を整えたらさぁ出発。アプローチは旧道から。
今回はクライミングギア一式+テント泊装備+水・・・荷物が重い💦
これで険しい旧道のアップダウン、しかもゆっくり出発なので既に気温も高く、中々堪えるアプローチ。
ふぅふぅ、全く何回登り降りするんじゃい・・・その度に流す滝の様な汗で全身ベチョベチョ🥵
すぐ横には涼しげな清流が流れ、飛び込みたい衝動に駆られる(飛び込んだら危ないケドね)。

名物丸太橋を越えてユーフレ小屋分岐を過ぎると、徐々に道と沢と藪が曖昧で不明瞭になってきた。
1000付近の枯れた沢型で旧道と別れ(この分岐から旧道側へ少し歩くと割と水量のある小さな流れで取水出来ました)、
あとは沢型の藪の中、鹿道など歩きやすそうな所を繋いで夫婦岩基部へ詰めていく。
幕営の適地を見繕ってテントを張り、荷を降ろす。あぁ静かで晴天の明るいテン場✨
とりあえずマッタリと昼寝でも・・・[其の弐]へ続く・・・

いやいや!我々はキャンプをしに来た訳じゃないんだった😅

実はこの2日間の天気、今日は晴天だが、明日は昼前から怪しい予報☔️。
本来ならアプローチの日は時間も少ない為、手軽なトコで肩慣らしして本番は明日、となるのだが
今回は出来れば天気の良い今日の内にメインディッシュを戴いてしまおう、という事で、
準備を整え、そそくさと「日鋼室蘭ルート」取り付きへ向かう。

[日鋼室蘭ルート] 5ピッチ(一つのルートを、持っているロープの長さに合わせて区切る回数:以下P)・6級ー
1P目:35m トップ(先に登る人)/Hくん:多分このルートの核心ピッチ。
出だしのハング(被った岩)から中盤のクラック(岩の割れ目)と悪いし、岩も脆い。
しかし、若いのに経験豊富でクライミングスキルも高いHくんはサラリと登っていく。
程なく上から「ビレイ(安全確保)解除!(ビレイを解いてOK)」コール。
アルパインの6級-って結構悪いんですが・・・・流石です。
今度は私がランニング(途中でセットするカムやナッツ、ピトンなどの中間支点)を回収しながら
フォロー(後ろの人)で登る・・・うーん、やっぱり悪い💦。何とか1P目終了点付近へ来ると・・・
「どうも此処は北西壁ダイレクト2P目の終了点みたいです。何処か脇に終了点っぽいの無いですか?」
と上からH君の声。周囲を見渡すと右手の少し下に終了点(Pを区切る場所)が・・・どうも途中からルートを跨いだみたい。

クライミングは”岩の弱点をついて登る”とよく言われますが、強い人は「弱みに漬け込むなんてアンフェアだ」
と、敢えて厳しいラインを取ってしまう・・? それが(強い)クライマーの性。まるで人生訓の様だ。

私は一旦登攀を中断し、手頃な灌木でセルフ(安全の為の自己確保)を取ってH君へコール、
10m程上のH君はビレイを解除、引き上げたロープで私のいる所までラッペル(懸垂下降)して合流。
そのまま脇に見えた本来の”日鋼〜”の終了点へ行き、無事ルート復帰する。

初見のアルパインは、こうした難しさもあります。今回は上手く気付けて戻れましたが、
よく分からず突っ込むと、いつの間にかとんでもなく厳しい所に出て進退極まる事も・・・
そんな時の局面突破には、今までの経験値と、クライミング能力が大事になってきます。



2P目:30m トップ/K山:つるべ(トップを交代し代わりばんこに登る)で今度は私がリード(先に登る)。
出だしのフェース(面状の岩壁)も結構悪いが抜けて、草付きのバンドを右上する・・・が草が脆い〜
岩の上にへばりついた芝生シート見たいな草に、先人が藁を掴む思いで握り込んだであろう穴が幾つかある。
それを手掛かりに一つ体を上げようとしたら・・・芝生が剥がれた。あっ、ヤバい・・・
慌ててその先を掴み直そうとする手が虚しく空を切る・・・痛恨のフォール(落ちる)😅
幸いその下で取った支点でソフトに止まったけれど、けど、あーやってしまった。

以後は取り敢えずノーテン(ノーテンションの略。落っこちてロープにテンションかける事無く登り切る事)で無事抜けました(アルパインは落ちちゃイカンのですが😅)。

3P目:45m トップ/H君:このピッチもあまり良くないが、やっぱりH君はサラリと登っていく。
50m近くまでロープが出て「解除!」のコール。続いてフォローで登る。
あれ?此処もなんか悪いぞ?核心は前のPで終わったと思ったのに・・・・ロープも随分出たな。
それでも3P目終了点まで辿り着き、此処で時間を見ると、登り始めが遅かったのもあり、時間も遅くなって来た。
しかも西陽が直にジリジリ照り付けるので、日干しになりそうな程暑く🥵既に飲み水も乏しい。

仮にこのまま残り2Pを登った後に岩頂へ抜け、中央ルンゼへ移動してラッペル(懸垂下降)して戻ると、
かなり遅くなってしまいそうだ・・・後2Pは二人共一度登った事のある”北西壁ダイレクト”へ合流するだけ。
相談の結果、”日鋼室蘭ルート”の核心は登ったので、ここで終えラッペルで戻る事にした。
効率優先なら、更に右の”洞穴スラブ”終了点から”大凹角左ルンゼ”を降りる方が良いかな?と言う事で、
此処から、洞穴スラブ終了点へトラバース(横移動)する事になった。

再び支点構築してH君をビレイ、右の草付きバンド(岩棚)”デルタ草付”にある筈の終了点へロープを伸ばす。
「ん〜何だか思ったよりロープが出るなぁ」と思ってたら、漸く「解除!」のコール。
フォローで私も後に続き、H君が見える所に行くと・・あれ?終了点的な残地(岩に残ったハーケン/ボルトなど)が何も無いぞ?
大凹角の何処かなのかは間違いないけれど、一段違う草付きをトラバースしたのかなぁ・・・??
どうも”洞穴スラブ”を通り越してしまった様だ・・戻る?・・でもどっちに?
H君が岩壁に生える灌木を見つけ、これを支点にラッペルの準備をする。その灌木は小さく私の”手首”より細い。
まだ下は70m位はある?垂直の壁・・・・アレに命を預けるのかぁ・・・😅
実際パッシブテンション(静荷重)テストをしてみれば根はしっかりしていて大丈夫そうなのだが、
ビジュアル的には何とも心許ないので「折れるなよ〜 抜けるなよ〜」と祈りながら下へラッペルした。

因みに、今回は50mロープ2本でクライミングしている為、一度にラッペル出来る高さは50mまで。
もしこの間に次のラッペル支点に出来る所が見つからなかったら、とてもマズいのだ。
幸いこの下にRCC(人工的なボルト)2本にスリングが掛かった支点が見つかってホッと一安心。
これをスルーするとロープの長さが足りなくなっちゃうので、ここで一旦ラッペルを区切った。
日が暮れると一気に周りは闇に包まれる。ヘッデンに浮かび上がる岸壁は無機質で威圧的だけど、
丁度良くしっかりした支点が見つかったので、気持ちは明るい。灼熱地獄も落ち着いたしね😊
此処からあと2回ラッペルして、無事に岩の基部に帰ってきた。
漆黒の闇の中、支度を解いて今宵のマイホームへ。今日は下山しないのでもう気が楽だ。
何はともあれ先ずは水分!カラカラの喉を潤してから、夕食を作ってお腹を満たす😋。

テントから出てみると素晴らしい満点の星空・・・しかし、野郎2人(笑)。
軽く人生話などしてたらもう22時。明日は天気が微妙なので早起きして朝イチ勝負だ。
もう寝ようっと・・・Z Z Z Z Z Z😪